カーディングマシンとは?
私たちが普段衣類などで使用している「布」
「布」は綿や羊毛などを原料とする天然繊維、石油などを原料とする化学繊維から、様々な工程を経て出来上がりますが、カーディングマシンはその一工程を担う機械です。
「布」は大きく分けて2つの工程から出来上がります。
1つ目は「繊維」から「糸」を作る紡績工程。
2つ目は「糸」から「布」を織る織布工程。
この1つ目の「紡績工程」の入り口で
- 1. もつれ合った繊維を分離して小さなゴミや短い繊維を取り除く
- 2. 残った長い繊維をまっすぐに引き伸ばし、繊維の方向を平行に揃える
という、繊維を整え糸にしていくための前準備を行います。
この工程を「梳綿(りゅうめん)」といい、梳綿(りゅうめん)を行うのが一般的なカーディングマシンの役割となります。
カーディングマシンには棘の付いたローラーが装着されています。その棘が「くし」のように繊維を掻き取りときほぐしていくことで、小さなゴミや短すぎる繊維を取り除き、方向を揃えます。
みなさんが髪の毛をとかしたり、ペットの毛をブラッシングして整えるのと同じとイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。
棘の「向き」と「速度」が異なるローラー同士が繊維を受け渡していくことで、何度も何度もブラッシングするのと同じ効果が得られます。
つまりローラーの数が多いほど、より高品質な製品が仕上がります。
メタリックワイヤーとは?
ローラーについている「棘」。
この棘はローラー自体についているものではなく、棘付きのワイヤーをローラーに巻きつけることで出来上がります。
棘付きのワイヤーのことを「メタリックワイヤー」といいます。
私たちはカーディングマシンの修理・製作を行っていますが、何よりもこだわっているのが、メタリックワイヤーの選定と巻き付け技術です。
マシンに何を通すのか?何を作りたいのか?というお客様の「目的」によって、ワイヤーの選定、ローラー間の隙間の微調整などを行い、従来の130%の生産量と質の実現を目指しています。
例えば、硬く太い髪の毛と、細く癖のある髪の毛をとかす際には、同じ櫛を使うよりも、それぞれとかしやすい櫛を選んだ方がより早く美しい仕上がりがのぞめます。
同じようにどんな繊維をときほぐすのかによって、メタリックワイヤーの選定法や調整も異なってくるとイメージしていただけると分かりやすいかと思います。
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カーディングマシンの下に
原料の落下が目立つ -
製品に
細かいブツブツが目立つ -
製品の厚さが
均等でなく、スジが入る -
製品の両端部分が
ボソボソ・ギザギザになる -
カーディングマシンから
異常音がする・回転が重たい
これらの症状が出てきた場合には、メタリックワイヤーを交換することで、また梳綿(りゅうめん)の効果を復活させることが可能です。
もしこれらの症状を早期発見できれば、修理のための費用・時間ともに少なく済む場合が多く、生産ラインを長時間ストップさせずに問題解決できるようになります。
▲新貝ふとん店様(詳しく見る)
カーディングマシンの歴史は古く、産業革命時代にヨーロッパで発明されました。
冒頭で述べた通り元々「布」を作るための一工程を担っていましたが、実は現在では布団のわたや不織布、工業用フェルト・断熱材といった工業製品など、カーディングマシン自体が製品を生産する機械として重宝されています。
製品開発のための試験機をご依頼されることもあり、カーディングマシンの使用用途はこれから更に多様化していくものと思われます。
マシンの構造自体はシンプルなため、古いマシンを長く使用していらっしゃる業者さんも多いのですが、いざ壊れた時にマシンの修理先が分からない、マシンの名前すら分からないというケースもあります。また修理の技術自体も受け継がれずに途絶えてしまうという現状もあり、現在国内においてカーディングマシンの修理ができる職人は一桁しかおりません。
高田商店ではカーディングマシンの知識・技術を継承していくこと、また新しい可能性や試みにチャレンジしていくことに積極的に取り組んでいます。
マシンや製品について、みなさまからのご相談、ご提案を常時受け付けておりますので、お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。